高気圧酸素治療

頸髄損傷・四肢麻痺の夫が、症状の回復のために、先月、「高気圧酸素治療」で2週間入院治療をしてきました。

 

高気圧酸素治療って?

1気圧高い気圧環境で大量の酸素を体内に取り入れ、病気の改善をはかろうとする治療。

治療時間は約90分。

治療に使用される装置には、 1名の患者のみを収容するカプセル型の装置と、2名以上の患者を同時に収容できるタンク型(大型)の装置がある。

夫は、1名用のカプセル型でした。

 

どんな疾患に有効なの?

脳血管障害、脊髄循環障害、突発性難聴、、網膜中心動脈閉塞症、皮膚潰瘍、骨髄炎など。

プロ野球選手、プロサッカー選手、オリンピック選手などの スポーツ医学でも取り入れられている

 

注意点や準備する物など

高気圧環境下だと、僅かな発火元であっても一気に火勢が拡大するため、治療装置内には、紙やメガネなどほとんどの物が持ち込み禁止です。

カイロは爆発するらしいです!!

夫が入院治療した病院では、静電気によっても発火する恐れがあるので、綿100%の下着を着用するようにとの指示があり、これを用意するのがけっこう大変でした。

シャツは、グンゼの綿100%の物を持っていたので、それを使うことにしたのですが、パンツが大変でした。

普段使っているパンツは、綿の他にポリエステルも入っているものばかりだったので、綿100%のパンツを買いに行ったのですが、需要がないのか、最近の傾向なのか、なかなか売っておらず大変でした。

本体部分は綿100%でも、ウエストのゴムがポリエステルだったり、ボタンが付いていたり。

下着売り場の商品の素材を全部チェックして、やっと見つけたのが、ワゴンの片隅に売れ残った感じの真っ白なトランクスでした。

何これ、だれが穿くの???って感じの真っ白な綿100%のトランクス(笑)。

1時間くらい売り場をうろうろして、選択肢がそれしか無かったので、真っ白なトランクスを6枚購入して来ました。

夫は、入院治療が急に決まってすぐに準備しなくてはならなかったけど、時間に余裕がある場合は、ネットで探したら、もっと素敵なものが見つかるかもしれないですね。

パジャマは、病院のものが綿100%でしたので、それを使いました。

 

気になる高気圧酸素治療の効果は?

1日に90分の高気圧酸素治療を2週間受けたのですが、

初日は、治療後、麻痺が残っている右腕全体が痺れたようです。

スタッフの説明によると、気圧が高くて血流が良くなり、神経を刺激しているからで、変化があるのはいいこととの事でした。

怪我後は、怠くて疲れやすいのが標準装備の夫なのですが、酸素カプセルから出てくると、とても疲れていたようです。

2週間の治療を終えた段階で、治療前との違いは、不自由な右手の指先の動きが少し良くなった程度でした。

治療前は、重力が通常の10倍に感じるのが7倍くらいに減るといいなと期待していたのですが、残念ながら重力は10倍のままでした。

でも、右手の指先の動きが少し良くなったので、私としては凄く嬉しいです!!

症状が悪くなったわけでもなく、現状維持なわけでもなく、わずかながらも回復して前進できたのだから。

(厳密には、高気圧酸素治療の他に、外出して鍼灸院で治療をしたり、色々なサプリを飲んでいたので、どれが効果があったのか定かではないけれど、相乗効果で効果があったのかもしれません・・・。)

 

高気圧酸素治療をして良かったこと

右手の指先の動きが良くなったことが1番です!!

今回の入院中に、頭・頸・腰のMRIや心電図や血液検査など、色々な検査もあったのですが、その結果、脳も内臓もとても健康でした。

「40代くらいだと健康な人でも、脳の血管に瘤があったり詰まっているところがあるけど、とても素晴らしい脳と血管です。心臓や血液も、運食生活に気を付けているのが解るくらい素晴らしい。」

と、お医者さんから嬉しいコメントを頂きました。

 

新たな問題勃発!?

入院中の詳しいMRI撮影で、頚椎症、脊柱管狭窄症といことが分かりました。

腰も狭窄症になっているけれど、かなりの筋肉で守られているので、腰に関しては今のところ大丈夫とのことでした。

 

去年の怪我で、C3・C4を痛めて頚髄損傷・四肢麻痺になり、リハビリを凄く頑張って、歩けるようにもなり、今では最低限の自分の身の回りのことを自分でできるようになったのですが、

「また同じ怪我をしたら、また同じ状態になりますよ。予防のためにC3・C4をチタンで繋げる前方固定手術をしてみてませんか?無理には勧めませんが。」

と、お医者さんからの説明がありました。

「手術します」と即答した夫でしたが、翌日から手術するかしないか迷いに迷うことになります。

 

前方固定手術については、次回につづく。

 

  

関連記事 

keison-kiseki.hatenablog.com

 

 

 

痛みには、脳神経外科がいい!?

夫の状態ですが、11月上旬頃から、痺れが痛みに変わってきました。

症状の変化としては、

  麻痺→痺れ→痛み→治る

という過程があるようなんですが、

痺れていた時よりも、痛い方が体を動かすのが辛いし、精神も蝕んでいくようです。

 

痛みに耐えながら、朝晩自己リハビリをして、週に1回鍼灸院に通っていたのですが、その鍼灸院で、「腕のいいお医者さんがいるから」と、脳神経外科を紹介してもらいました。

 

入院中は整形外科で、退院後は、整形外科、循環器内科、神経内科を受診したけれど、怪我後、脳神経外科は初めてになります。

そう言えば、知り合いの知り合いが、頸髄損傷で脳神経外科に行ったら良くなったと聞いたことがあったな・・・。

人伝に聞いたので詳しい話は分からないけれど、試してみる価値はありそう。

すぐに予約をして、夫を脳神経外科に送り出しました。

2日がかりで、首と腰のMRIを撮って診察して頂いたところ、

『高気圧酸素治療』をしましょうということになりました。

 

高気圧酸素治療については、次回につづく。

退院

夫は、救急搬送された急性期病院に約1ヶ月入院し、

その後、リハビリ病院に転院し、約3週間で退院となりました。

夫が退院することになり、家族はとても喜んだのですが、

退院がゴールではなく、退院してからが始まりでした。

 

病院では、一人で歩けるようになるのと、箸を使って自分で食事を食べられるのが退院の目安のようなんですが、

夫の場合は、右半身に運動障害、左半身に感覚障害、温痛覚障害なども残っていて、

退院後の生活はかなりキツイです。

身体の痛みや痺れ、疲れやすい、だるい、背中が常時熱い、便秘などの身体的苦痛と、

この体の状態を受け入れ付き合っていくという精神面での葛藤。

今の状態より悪くなるのか、良くなるのか、もし良くなるならどれくらいで良くなるのか・・・という先の見えない不安。

 

退院直後の夫は、辛くて毎日泣いていました。

私は、側にいて話を聞いてあげるくらいしかできなくて。

「これからも一緒に生きていこう」って言うのが精一杯だった。

 

受傷後6カ月経った今でも、時々だけど、辛くて泣いている時があります。

でも、なんとか今日まで前向きに頑張って来れたのは、大変な時期に元気に生まれてきてくれた息子のおかげだなって思います。

赤ちゃんって、癒されるし元気をくれる。

「赤ちゃんは自分の親を選んで生まれてくる」って説、ありますよね。

息子は、私たち夫婦を前向きに生きるよう、励ますために生まれてきてくれたのかも。

 

 

 

 

奇跡の始まり

夫は自宅から遠い大きな病院に入院することになった為、すぐにはお見舞いに行けず、搬送された2日後にやっとお見舞いに行くことができた。

 

病院へ向かう途中で

「メールならなんとか」

と、夫からメールがあった。

メールができるまで回復したことと、連絡手段ができたので、これは非常に嬉しかった。

 

病室へ入ると、ベットの上でぐったりと横たわっている夫が居た。

「大丈夫?」と声をかけると、

「なんで来たの!!」と、ちょっと怒った口調で言われた。

長時間かけて病院に来るのは身体に負担がかかるから、お腹の子のことを思っての言葉だろう。

 

ベットに横たわっている夫は、左手・左足がわずかに動くが、右手・右足が動かない状態だった。

怪我をして搬送される時は、首から下が全て動かなかったらしい。

怪我をした3時間後くらいから左の手足が少しづつ動くようになってきた。

これが奇跡の始まり。

 

左の手足が少し動くが、基本的に自分では何もできない状態で、

看護師さんにベットのリクライニングを調節してもらったり、

体の向きを変えてもらったり、ご飯を食べさせてもらったり、歯磨きをしてもらったり・・・。

「赤ちゃんみたいでしょ」と、冗談交じりに話す夫。

 

ある日突然、思いもよらぬ大怪我をして身体が不自由になり、落ち込んでいるんじゃないかと夫のことを心配していたが、思いがけず元気で安心した。

でも明るく振る舞っていたんだろうな。

 

帰る際、私は元気な赤ちゃんを産むのを頑張るからお父さんはリハビリ頑張ってねと約束をして帰って来た。

 

 

 

 

病院から告げられた病名は「頸髄損傷、四肢麻痺」

「こんな恰好してるけど、大丈夫だから」と言って、ドクターヘリで運ばれて行った夫。

病院から告げられた病名は、

「頸髄損傷、四肢麻痺

という衝撃的なものだった。

 

「頸髄損傷」でネット検索してみると・・・。

ネット社会は便利だけど、時には残酷でもある。

 

頸髄を損傷すると、運動機能の障害、感覚機能の障害、自律神経の障害、排泄機能の障害があるようだ。

 

この時は、無意識に悪い情報ばかり見てしまっていた。

 

3人の子供とお腹の子のこれからの事も心配ではあったが、

それ以上に、ある日突然、思いもよらぬ大怪我をして不自由な体になってしまった夫のことが可哀そうでしょうがなかった。

夜、子供達が寝た後、夫が可哀そうで大泣きしてしまった。

 

青天の霹靂~ある日突然の思いがけない怪我

3ヶ月前のとある日、外出中の夫から携帯に電話があった。

「転んで頭を打った。これからドクターヘリで運ばれることになったから。」と。

ドクターヘリだなんて何だか大げさだなと思いながら、夫がいる場所へ向かった。

 

すると、夫が担架で運ばれている。

ドクターヘリも到着して、騒然としている。

ドクターヘリのお医者さんから、

「(怪我した)場所が場所なので、念の為、精密検査をしますので、病院へ搬送します。」との説明があった。

 

夫は、

「こんな恰好してるけど、大丈夫だから」

と言って、ドクターヘリで運ばれて行った。

 

後から思えば、妊娠中の私を心配させないようにと思いやりの言葉だったのだろうな。

 

 

はじまして

ある日突然、夫が頸髄損傷という大怪我をしました。
その時、私は臨月でした。

3人の子供がいて、翌月には四児の母になる予定で、そんな時に夫は予期せぬアクシデントが・・・。


夫の頸髄損傷からの奇跡の回復の様子と、後遺症に苦しむ夫を支える家族の様子を綴っていきます。


怪我をした本人はとても辛いと思います。そして、陰ながら支える家族も大変だと思います。

頸髄損傷は、100人いれば100通りの症状があると言われています。

夫は回復の途中で、様々な症状が少しでも改善されるようにと日々模索中ですが、

頸髄損傷された方やそのご家族などに、少しでも参考になればという思いで、日々の症状や試してみた事や役に立ったグッズなども書いていきたいと思います。