奇跡の始まり

夫は自宅から遠い大きな病院に入院することになった為、すぐにはお見舞いに行けず、搬送された2日後にやっとお見舞いに行くことができた。

 

病院へ向かう途中で

「メールならなんとか」

と、夫からメールがあった。

メールができるまで回復したことと、連絡手段ができたので、これは非常に嬉しかった。

 

病室へ入ると、ベットの上でぐったりと横たわっている夫が居た。

「大丈夫?」と声をかけると、

「なんで来たの!!」と、ちょっと怒った口調で言われた。

長時間かけて病院に来るのは身体に負担がかかるから、お腹の子のことを思っての言葉だろう。

 

ベットに横たわっている夫は、左手・左足がわずかに動くが、右手・右足が動かない状態だった。

怪我をして搬送される時は、首から下が全て動かなかったらしい。

怪我をした3時間後くらいから左の手足が少しづつ動くようになってきた。

これが奇跡の始まり。

 

左の手足が少し動くが、基本的に自分では何もできない状態で、

看護師さんにベットのリクライニングを調節してもらったり、

体の向きを変えてもらったり、ご飯を食べさせてもらったり、歯磨きをしてもらったり・・・。

「赤ちゃんみたいでしょ」と、冗談交じりに話す夫。

 

ある日突然、思いもよらぬ大怪我をして身体が不自由になり、落ち込んでいるんじゃないかと夫のことを心配していたが、思いがけず元気で安心した。

でも明るく振る舞っていたんだろうな。

 

帰る際、私は元気な赤ちゃんを産むのを頑張るからお父さんはリハビリ頑張ってねと約束をして帰って来た。